一人親方の労災問題

2024年度から働き方改革の一環である時間外労働の上限規制が建設業にも適用されます。
これらは労働者がより働きやすい環境、魅力のある職場を法的に整備して人材を確保するという大きな目的があります。


それに加えて、建設業は安全や健康を優先して職場環境を改善していく取り組みが本格化します。
  参照:建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する基本的な計画

建設業は他産業に比べて労働災害が多いことが指摘されています。
それで、基本計画では、こうした事故のリスクをできる限り防ぐために、労働者と一人親方を区別することなくすべての工事従事者の安全健康の意識を高めることを規定しています。

令和4年に72人の一人親方が業務中に亡くなっています。
労災保険の対象とならないことから行政機関が個人の特別加入制度の加入状況を把握し、積極的な加入促進を徹底することとなっています。(加入は任意)
これらの費用は「通常必要と認められる原価」であり、請負代金に含めることも求めています。


また、5年前の計画では盛り込まれなかった、本来雇用すべき一人親方(いわゆる偽装一人親方)は正規に雇用し労働者としてあつかうよう踏み込んだ施策が行われます。

今後、労災特別加入の確認にも建設キャリアアップシステムが活用されることが予想されます。

建設業全体の安全と健康を最優先する姿勢が中長期的な人材確保につながっていくことが期待されています。

                                                              文責:行政書士  長友紀典