在日コリアン(在日韓国人・朝鮮人)の家族関係登録簿

在日コリアン(在日韓国人・朝鮮人)の家族関係登録簿

在日韓国人がパスポートをつくろうとするときに大きな問題となる点をご説明します。

現在に日本に住む在日コリアン(韓国・朝鮮籍)は約44万人です。

その内の約28万人は特別永住権という在留資格をお持ちの方です。

その多くは、戦前に日本へ移住され戦後様々な事情で帰国を果たすことができず日本に残留せざるを得なかった方々の二世三世です。

在日コリアンは多大な苦難を乗り越え、自国籍という民族のアイデンティティを保持しながら、日本の社会に力強く根付いてきました。

とはいえ、法的な立場は日本に長期滞在している外国人という位置づけです。

こうした歴史的な背景があるため、在日コリアンで大きな問題となっているのは韓国の家族関係登録簿(日本の戸籍にあたる)に登録されていない、または不備があるということです。

これは二世三世と世代交代が続き、本国とのつながりが少なくなるにつれ日本の役所に婚姻届けや出生届を出しても、韓国に届け出がされていないなどの理由によるものです。

日常生活には支障はなくてもパスポート申請や帰化手続きや相続手続き等の法的な立場を確認したり変更したりするには本国の家族関係登録が基礎となります。

また、法的な保護を得るためには登録は不可欠といえます。このような特殊な事情を考慮して韓国政府は簡便な形で家族関係登録を整理したり修正したりできる制度を設けています。*

特例法の目的に関して韓国政府の見解は以下です。

韓国政府の見解

これは海外で長期間居住している在外国民が…手続きができない特殊性を勘案し…より迅速かつ簡便な家族関係登録事務の処理に必要な事項を定めることを目的としたものです。

이는 해외에서 장기간 거주하고 있는 재외국민이…절차를 못하고 있는 특수성을 감안하여…보다 신속히 그리고 간편하게 가족관계등록사무의처리에 필요한 사항을 정하는 거을 목적으로 합니다.

韓国政府としても自国民の正確な把握を推し進めたい考えが伺えます。

文責:行政書士 長友紀典