韓国戸籍の翻訳

在日韓国人の方が相続される場合は日本人と同様に相続人であることを証明する書類が必要です。通常の相続には亡くなられた方(被相続人)の生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要ですが、在日韓国人の場合はこちらを日本の役所では発行していません。帰化されている場合でも帰化後の情報しかありません。それで韓国領事館で除籍謄本等を請求する必要があります。

2008年以降の家族関係証明書という個人単位の管理に移行していますが、それまでは日本と同様に戸主単位に戸籍が作成されていました。さらに日本との違いは父や祖父母が長男である場合は分家しないために一族の情報がすべて記録されているということです。かなり古い戸籍の場合は日本でいえば江戸時代後期、朝鮮半島でいえば李氏朝鮮時代に生まれた方の記録が載っているものもあります。

法務局の指針にそってこれらすべてを翻訳する必要があります。(一部の翻訳は認められません※)電算化された文書はハングル表記ですが、翻訳そのものはさほどむずかしいものではありません。しかし、昭和初期に手書きで書かれた戸籍はハングルと漢字が混じり、漢字も旧字体であったり、崩し字であったり、不鮮明であったりして、かなりの難易度となります。

韓国語の理解力だけでなく朝鮮時代の年号、住民登録制度、韓国でしか使用しない漢字の知識なども必要です。日本の行政区画の変遷も理解しておく必要があります。ただ、戸籍という書類の性質上、前後の記述からある程度推察できることもあり、さまざまな情報を総動員してようやく翻訳が完成します。

日本統治時代の創氏改名や日本に移住した一族の歴史の重みを感じながらの作業です。戸籍という行政上の記録はそこに記載された一人一人が激動の時代を生きてきた証なのでしょう。

※東京法務局ホームページ参照

https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000001_00890.html

翻訳例(手書き 明治、大正期 戦前)

翻訳例(電算化されたもの 昭和後期、平成期)